AIとロジックの使いどころ

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投稿日: 2023/01/27 17:45:10

著者: 木村 優志

Andrew Ngが「AIは永遠の春に入ったと言えるのかもしれない」といったのは2018年のことだ。その予言は今の所正しかったようだ。あれから5年たち、AIが再び冬の時代を迎える様子はない。拡散モデルによる画像生成AI(Generative AI)と大規模言語モデル(LLM)と人間のフィードバックによる強化学習(RLHF)をもちいたChatGPTなど、驚異的なモデルが次々と発表されている。わたしも今後のAIの発展にワクワクしている。

しかし、この記事では、現状のAIの限界について述べようと思う。ディープラーニングは素晴らしい技術だが、魔法ではない。どうしても得手不得手が存在する。

ディープラーニングのメリットは、なんと言っても人間が「解き方を理解していない問題」を解くことができることだ。入力と出力のペアを大量に用意することで、その間の関係を学習し、解き方を「発見」することができる。

一方で、現状のディープラーニングは複数のステップからなる問題やロジカルな関係性には弱い。これらは、ロジックや古典的なアルゴリズムが得意とする領域だ。

これらをうまく組み合わせることが、システム開発では重要だ。

ディープラーニングでは精度は100%にはならないが、これをロジックやアルゴリズムで吸収する方法はありうる。たとえば、現代制御理論で利用される状態方程式には、外乱という形でディープラーニングの予測誤差を扱いうる。わたしも、パーティクルフィルタや状態方程式を機械学習の後段に用いることで、複雑な問題を解くことができた例を知っている。

いつのひか、ディープラーニングですべてが解決するようになるのかもしれない。しかし、現状ではこの暴れ馬をうまく乗りこなしてあげる必要がある。